誘導された行動と強制された行動における責任判断
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概要
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本研究では、ある個人が弱い立場におかれて犯罪に加担した架空事例を3つ準備し、脅されて無理やりさせられたケースと、利益誘導されたケース、それにそのような情報がないケースを、3群に分けた合計228名の大学生に示し、それぞれ、どれだけ責任があるか、どれだけ強制されていたか自由だったか、などの判断を求めた。脅し強制と利益誘導は、同じことを違った視点から表すようにした。その結果、3事例のうち2事例で判断に有意な差が見られ、誘導条件で厳しく判断されており、脅し強制と利益誘導によって生じた行動に対し、非対称的な責任判断が起こることが確認された。自白に関して、脅しで自白させられたと主張するのに比べ、罰を軽くするからと誘導されて自白したと主張する場合、有罪に判断されやすく刑罰も重く判断される傾向(誘導自白バイアス)が模擬裁判実験で見出されている(黒沢・尾崎、2002)。本研究により、非対称的な責任追及は、強制された自白に限らないことが確認された。本実験の刺激はフレーミング課題の形になっているので、見出された判断バイアスにフレーミング効果が関連している可能性が示唆され、誘導自白バイアスも、フレーミング効果によって部分的に説明されると思われる。
- 法と心理学会の論文
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