口腔扁平上皮癌細胞における自律増殖性の解析

概要

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口腔扁平上皮癌細胞の増殖特性の解明は抗癌治療の進歩に大きく貢献すると期待されている.本研究でわれわれは,口腔扁平上皮癌細胞株HSC3とHSC4の増殖特性を調べた.初めに96-well plate上に5×10^3個の細胞を播き,血清濃度を0%から10%まで変えて培養したところ,HSC3は血清5%以上で良好に増殖し,1%で低レベルの増殖がみられたが,0%では増殖は認められなかった.一方,HSC4は血清濃度依存的に増殖が活性化され,0%でも低レベルながら増殖を認めた.次に無血清培養条件下でHSC4細胞数を1×10^3から2×10^4まで変えて培養したところ,1×10^3では増殖はみられず,それ以上の細胞数では細胞数依存的に増殖速度の上昇がみられた.さらにHSC4の培地中にSheddase阻害剤であるTAPl-2とγ-secretase阻害剤であるDAPTを添加したところ,TAPl-2処理単独で,増殖が抑制された.また,EGFR阻害剤であるAG1478を添加した場合も,増殖抑制が確認された.これらの結果は,HSC4はectodomain sheddingにより細胞外に放出された成長因子であるEGFRリガンドがEGFRを刺激するautocrine-loop機構によって無血清培養下で自律増殖でき,HSC3にはそのシステムが働いていない可能性を示した.
2013-09-25