米飯咀嚼時における顎関節腔内圧の変動様相

概要

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下顎運動,咀嚼筋活動および下顎頭の運動過程に関する個々の報告はあるものの,顎関節内の下顎頭の包括的な変動様相を加えた咀嚼時の下顎運動,咀嚼筋活動を観察した報告はなく,咀嚼運動に対する顎関節内の運動様相は依然不明である.そこで,咀嚼運動に対する顎関節内の包括的な運動様相の解明することを目的に,咀嚼時の咬筋筋活動,切歯点運動,ならびに顎関節腔内圧(intra-articular pressure : 以下IAP)の変動を同時記録し,咀嚼運動時における下顎運動とIAPの変動様相を比較した.被験者として顎口腔系に自他覚的に異常を認めない健常有歯顎者10名を選択し,被験食品として米飯を一定条件で炊飯後,被駐量15g,厚さ15mm,幅25mmの直方体に整えた.なお,研究実施にあたってはヘルシンキ宣言を基本とした英国エジンバラでの修正宣言(2000年10月)を尊重した.被験者の人権および利益の保護に配慮した研究計画を行い,本学の医の倫理委員会の承認を得た上で,本研究の目的および方法を説明し,同意を得られたものを研究対象とした.21G注射針を顎関節上関節腔後方部に留置し,エクステンションチューブを介し圧トランスデューサーに接続後,咀嚼運動に伴うIAPを測定した.さらに咀嚼側咬筋中央部における筋活動電位および切歯点の咀嚼運動軌跡を同時記録した.米飯咀嚼運動におけるリズムに着目して,リズムの各サイクルにおける切歯点運動,筋活動電位およびIAPの変動の時間的パラメーターをΔ1〜Δ4と規定し解析したところ,各サイクル間には有意差を認めなかった.このことより咬筋筋活動,下顎運動に対してIAPが協調するように変動し,咀嚼運動は□腔周囲組織を加えた歯,咀嚼筋,顎関節の複雑な協調運動によって行われていることが考えられた.
2003-03-25

米飯咀嚼時における顎関節腔内圧の変動様相

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