外傷的体験後, 予期不安からパニック発作を繰り返してきた広場恐怖患者の認知行動療法(事例研究)
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概要
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本研究では、幼少時、吹雪の中で突風の向かい風のために息ができなくなるという外湯的体験に関連した予期不安からパニック発作を繰り返す「パニック障害の既往歴のない広場恐怖」に対して、薬物療法と認知行動療法の併用で軽快した症例を報告し、認知行動療法の介入効果について検討した。具体的に用いられた技法は、心理教育、腹式呼吸、自律訓練法、系統的脱感作法、エクスポージャー、認知再構成法であった。本症例の治療経過からは、(1)心理教育やリラクセーション法によって、緊張・過敏さの低減、対処法の獲得、さらなる治療への動機づけがなされた後、(2)系統的脱感作法、エクスポージャーによって外傷的体験に関わる記憶が正常化され、(3)さらに認知再構成法により予期不安が改善されたことによって、広場恐怖全般の軽快に至ったものと考えられた。以上より、本症例のように広場恐怖の維持要因の中核である予期不安の背景に幼児期の外傷的体験が存在する場合には、その影響を緩和するための介入が必要であることが示唆された。
- 日本行動療法学会の論文
- 2001-09-30
著者
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