人民解放軍のサイバー戦における民間能力活用に関する一考察

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2009 年 10 月に公表された米中経済安全保障調査委員会の年次報告は,中国のインテリジェンス活動の増大,その中でも特にサイバースペースを利用した活動が活発化していることや,それらの活動に国家的関与が窺われることなどを指摘している.また,2013 年 2 月,米国コンピュータ・セキュリティ企業は,主に米企業を標的とするハッカー攻撃を中国政府が支援している可能性が高い集団が行っていることや,攻撃母体の一つが上海市内に所在する人民解放軍の秘密サイバー部隊であることなどを指摘する報告書を発表した.両報告書では見落とされているが,中国のサイバー戦を論ずる際には「民間能力活用」という観点は欠かせない.それというのも,中国は,江沢民の情報化戦略を具体化すべく,サイバー戦に向け民間能力を「民兵」や「協力者」として組織化しているからだ.例えば人民解放軍は,高度な IT 技術を有する民間人らを集め,また,民間の「愛国ハッカー」を重要な国家資源として位置づけ,当局の統制下・指揮下におくことでその能力を活用している.以上のとおり,中国は,サイバー戦に向けた民間能力活用のため,国家総動員的な資源集約を図っているが,特に人民解放軍の動向には今後も注目を要する.
2013-11-14

人民解放軍のサイバー戦における民間能力活用に関する一考察

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