地域参加型学習におけるコーディネーターの素養群 : 大学生の異世代交流拠点でのアクションリサーチから
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では、地域参加型学習の推進にあたり、地域と学生とのコミュニケーションをデザインする立場に就くコーディネーターに求められる要素を明らかにした。研究対象は京都市中心部で展開された異世代交流のために大学が設置した「でまち家」を拠点とした協働的実践である。2年間にわたるアクションリサーチで、第一筆者が身を置いた場面をエスノグラフィーとして再詳述した。そして、第一筆者の内省から得られた教訓を、第二筆者が携えて現場に参入することで、人と人とを結ぶコーディネーターの行動規範を析出した。さらに、社会での学びを通じて自己形成を図る上では、変化の察知、偶発の担保、緊張感の保持、情熱の喚起の一群が重要であることを示した。また、こうした地域参加型学習の促進にあたって、プログラムを提供する運営側に立つ大学の教職員、また活動の主体となる学生たち、さらには活動対象となる地域の方々とのあいだで良い相互作用がいかに生まれるかにも注意を向けた。よって結論に示した素養群は、教育プログラムの担い手のみに準用されうるものではない。フィールドに積極的に介入し、実践家と研究者の間で価値の調整が伴うアクションリサーチの場面においても通底するものであるというインターローカリティーも提示する研究である。
- 2013-02-15
著者
関連論文
- NPOこれからの10年 : 組織とつながりのデザインに踏み出す(第一部:対談,NPO Now)
- 「研究フィールド×理論」が紡ぎだすもの : 「脱ボランティア日記」化のためのフィールドレポート
- ソーシャル・イノベーション・スキルセットに関する一考察 : コミュニケーション力とコミュニティの維持・発展のリーダーシップ発揮の観点から
- 杉万俊夫編『コミュニティのグループ・ダイナミックス』(2006 京都大学学術出版会)
- ソーシャル・イノベーション研究におけるフィールドワークの視座 : グループ・ダイナミックスの観点から
- お寺の原点回帰--社会に参加する仏教の実践 (特集 仏教ルネッサンス--お寺と社会の縁起復興)
- 地域発・地域着のネットワーク型まちづくりの実践
- NPO分野の教育・人材育成講座事務局の役割に関する一考察
- モデル化とメタファーを通じた協働的実践の理論化--まちづくりと地域通貨に関する人間科学によるアプローチ
- 新しい学びの場を創出する京都の挑戦 (特集 "創造都市"の時代へ) -- ("創造都市"への取り組み)
- 大学のまち・京都での社会起業家育成プログラム--コミュニティ・ビジネス&サービスに着目する意味・意義 (特集 地域経済の再生とコミュニティビジネスの展開--NPOへの期待と課題)
- こだわりが導く地域の社会的・文化的な豊かさ--地域通貨「おうみ」
- 地域通貨とコミュニティ支援
- 自分探しの時代に承認欲求を満たす若者のボランティア活動 : 先駆的活動における社会参加と社会変革の相即を図る「半返し縫い」モデルの提案(ボランティアの現在)
- ボランティアの未来を再論するということ(再論 ボランティアの未来を問う)
- well-designedな生活スタイルの実現 : フィンランドにおけるソーシャル・イノベーションの源流を見つめて
- NPO支援ファンドによる地域力再生の可能性に関する一考察 : 公益財団法人京都地域創造基金のインターンシップを通じて
- 状況的関心で参加するエコツアーの環境教育効果 : エコスタイルネットの意味と意義に関する考察を踏まえて
- 市民参加演劇の活動を通じた公民協働による地域活性化の方途 : アウトリーチとインリーチの反復的交替の視点を中心に
- 討論 (第47回 日本臨床心理学会(大阪大会)報告) -- (全大会シンポジウム 臨床心理学 : 宗教-社会、その関係性を探る)
- 祈りと願いを結ぶ他者のまなざし : 物理的距離と精神的距離のあいだで (第47回 日本臨床心理学会(大阪大会)報告) -- (全大会シンポジウム 臨床心理学 : 宗教-社会、その関係性を探る)
- 関係性の学び方:「学び」のコミュニティとサービスラーニング, サラ・コナリー、マージット・ミサンギ・ワッツ著, 山田一隆・井上泰夫訳, 晃洋書房, 2010年
- 現代社会への複眼的思考を求めて : グローバルとローカル・マクロとミクロのダイナミックスを(グローバルとローカルの複眼的思考)
- 道具の身体性から見た竹筬の復興に関する一考察 : 道具の復権を求めたアクション・リサーチから
- アクションリサーチ-実践する人間科学-, 矢守克也著, 新曜社, 2010年
- 多宗教の実践知が社会を救済する : 「共生社会と宗教」を終えて
- 地域参加型学習におけるコーディネーターの素養群 : 大学生の異世代交流拠点でのアクションリサーチから
- 災害ボランティアの心構え, 村井雅清著, ソフトバンククリエイティブ, 2011年
- 大学と震災とボランティアセンター(国際ボランティア学会第13回大会トークセッション)
- 「教育者」から「学習者」へのムードメイクとモードチェンジ : 受け手から担い手へのリレーゾーンを駆け抜けて (藤岡惇教授退任記念論文集)
- 東日本大震災のボランティア活動に見る自分事へのドリル : 「私にできることは、なんだろう。 : 学生がみたTOHOKU」からの洞察 (特集 不条理な世界、にもかかわらず : 東日本大震災以降の社会とのかかわりから)