財産区有林の管理運営と地域農林家との関わり : 陸前高田市有林旧矢作町財産区の事例
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概要
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本研究は,陸前高田市の旧矢作町財産区有林を事例として取り上げ,成立時期から昭和終期における財産区有林の利用と管理の実態を明らかにすることを目的としたものである。調査は,聞き取り調査と,資料・文献調査によって行った。はじめに,成立時期の姿を整理し,次にその後の管理運営の展開の整理を行った。その上で,昭和終期における利用状況について,農林家からの聞き取り調査結果も踏まえながら分析した。その結果,かつてと同じように村民と強い結びつきがあった財産区有林は,徐々に部落・集落の主導にかかる利用の減退や経営事情の悪化が認められるようになったものの,昭和終期においても,シイタケ原木の払下げを中心とする利用が行われていたこと,また,分収林契約において,地域的まとまりを基礎とするものがなお重要な位置を占めていたことが明らかになった。地域の農林家と財産区有林との関わりに,弛緩は認められたが消滅はしておらず,そのことは財産区有林が古くから村民の生活を支えてきたことを背景としていると考える。旧財産区有林と地域農林家との関わりのその後の展開を把握し,これからのあり方について考察を進めることが今後の課題である。
- 東北森林科学会の論文
- 2007-09-30
著者
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