アイソザイムによるブナ精英樹38クローンのクローン識別と実生家系における花粉親の同定
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ブナ精英樹クローンの系統管理の精度向上と豊作年に多量に生産される種子の有効活用をはかるために,東北育種場に保存されている精英樹38クローンのクローン識別を試みるとともに,実生家系における花粉親の同定の可能性を検討した。クローンを識別するための遺伝マーカーには,8酵素種のアイソザイムを支配する11遺伝子座を用いた。分析した結果,11遺伝子座において24対立遺伝子が検出された。多型的な遺伝子座の割合,1遺伝子座当たりの平均対立遺伝子数,1遺伝子座当たりの有効な対立遺伝子数,平均ヘテロ接合体率の期待値と観察値は,それぞれ54.5%,2.18,1.28,0.159及び0.158であり,ブナ精英樹クローンは,木本植物が集団内に保持している遺伝的多様性の平均的な遺伝的多様性を保有していた。ブナ精英樹38クローンは,28種類のMulti-locus genotypeに区分され,23クローンはクローン独自のMulti-locus genotypeを保有しており,これらのクローンについては,クローン識別が可能であった。また,鯵ヶ沢104は頻度の低い対立遺伝子を3遺伝子座で保有しており,このクローンが花粉親となっている実生後代は全て識別が可能であることが明らかとなった。それ以外にも実生後代における花粉親の識別が一部可能なクローンが9クローンあった。
- 東北森林科学会の論文
- 2000-10-31
著者
関連論文
- 分子マーカー情報に基づく採種園の遺伝的管理
- 早池峰アカエゾマツ南限集団の現況
- 早池峰アカエゾマツ南限集団の現況 (平成12年度 第30回林木育種研究発表会講演集)
- マイクロサテライトDNAとアイソザイムを用いたブナ(Fagus crenata Blume)精英樹クローンの識別
- 無花粉スギ「爽春」の24,25年生時におけるクローン特性
- 新シリーズ「うごく森」をはじめるにあたって(うごく森 1)
- ブナ(Fagus crenata Blume)天然林2林分の遺伝構造と遺伝的多様性の比較
- 北限のブナ林の林分内における遺伝構造
- ヒバ(Thujopsis dolabrata)見本林におけるヒノキ漏脂病被害の林内分布と産地間差
- 遺伝マ-カ-で探るブナ林の遺伝構造 (特集:樹木の遺伝・育種)
- 福島県塙町のヒノキ漏脂病激害ヒノキ人工林における被害の空間分布構造
- ヒバ林の現状と未来
- アイソザイムによるブナ精英樹38クローンのクローン識別と実生家系における花粉親の同定
- ブナ自然交配家系37家系における初期生長の家系間変異