面接における「1つのありよう」を記述する試み : 佐治守夫『Tさんとの面接』の検討
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概要
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本稿の目的は、佐治守夫の面接記録(『治療的面接の実際 Tさんとの面接』 佐治, 1992)を検討し、カウンセラーの「ひとつのありよう」の記述を試みることである。 永井均による、西田幾多郎の「純情経験」「場所」の概念の記述を手掛かりに、逐語記録の検討を行い、佐治が面接で行おうとしていたことを次のように記述した。 基本的にはクライアントの「思い」を佐治の「私」という「場所」において実現することを試み続けている。そして、その実現した「思い」について佐治が思ったことや、はっきりと語られていないが想像できたクライアントの体験、浮かんできたカウンセラー自身の体験などを、適宜ことばにして伝えようとしている。 この「ありよう」と、「関与しながらの観察」「共感的理解」「自己開示」との関連について、簡単に考察した。また、この「ありよう」は、1つの臨床形態として位置づけられるものであると指摘した。
- 2012-03-01
著者
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