歯科保健推進条例の広がりと今後の展望
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概要
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1989年に8020運動が提唱されて以来,20年以上が経過した.この間,8020の状況は改善してきているが,その割合はようやく20%を超えたところであり,多くの国民が生涯にわたって口腔機能を維持できる「8020社会」の実現にはいたっていない.一方,この10年の間に,口腔保健の全身の健康に及ぼす影響に関する研究結果が次々と報告され,施策としての8020運動の科学的根拠が蓄積されるようになってきた.しかしながら,口腔保健は,食べる,話す,笑うなど国民が健康で質の高い生活を送るうえで,基礎的な要素であるにもかかわらず,国と地方自治体が,国民・住民に対して,生涯にわたる口腔保健対策を切れ目なく行うための法制的基盤は十分ではなかった.特に,確実なう蝕予防,歯の喪失防止のための成人期以降の歯科健診・保健指導体制の整備,障害者・要介護者等への歯科医療提供体制,生活習慣病等の疾患別対策における医科歯科連携の推進など歯科に関わる健康格差の是正が求められる課題となっている.このような背景のなかで,2008年の新潟県歯科保健条例を皮切りに,現在まで21道県および7市町において,県条例,市町条例が制定されている.特に,2011年8月には,「歯科口腔保健の推進に関する法律」が制定され,生涯にわたる口腔保健の維持構造のための国と地方公共団体の責務や,基本的な施策が明示された.また,同年10月には,埼玉県において県条例が制定され,国の法制定後も県,市町村条例制定の動きはとどまっていない.国の法律とこれまでの1県を除いた県条例は,国民・住民の代表である議員提案の形で,提案され成立しているものであり,8020運動が22年目を迎えた現在,口腔保健の推進が,施策に直結した国民運動となって定着してきたものといえる.健康政策に関する財源が議論されるなかで,口腔保健の推進に関する国の法と地方公共団体の条例が両輪となって,地域の特性を活かした効果的な対策が推進される新しい時代が到来していると考えられる.
- 国立保健医療科学院の論文
- 2011-10-00
著者
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深井 穫博
日本歯科医師会地域保健委員会
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大内 章嗣
新潟大学大学院医歯学総合研究科
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大内 章嗣
新潟大学医歯学総合研究科口腔生命福祉学専攻福祉学分野
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深井 穫博
日本歯科医師会
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大内 章嗣
新潟大学大学院医歯学総合研究科福祉学分野
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深井 穫博
日本歯科医師会地域保健委員長
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