台湾日本語にみられる「でしょ」の新用法
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概要
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従来の日本語の研究においては,「でしょ」の用法は大きく〈推量〉と〈確認要求〉の2つにわけられてきた.しかし,本稿で明らかにしたように,台湾高年層の日本語の「でしょ」には〈推量〉と〈確認要求〉のほかに,〈新情報認知要求〉とでも名づけうる機能での使用が多く観察される.〈確認要求〉は聞き手が知っているあるいは分かるはずの事柄を取り上げて確認や同意を求める用法であるが,〈新情報認知要求〉は聞き手が知らないあるいは分からないはずの情報を提示して当該の情報の認知を要求し,それによって後続の発話内容の土台を作るものである.〈新情報認知要求〉は〈確認要求〉を拡張させた用法と考えられる.〈新情報認知要求〉の使用は海外の残留日本語にも広く観察され,日本国内でも近年増えつつある.現代日本語の「でしょ」にも〈新情報認知要求〉という用法を認めるべきである.
- 社会言語科学会の論文
- 2009-02-28
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