ミネソタ式人格目録を用いた神経膠腫患者に対する術前のパーソナリティ調査

概要

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神経膠腫患者においては、巣症状は別に神経心理学的な症状や、精神症状である不安や恐怖といった感情を伴う場合が多く、これらが原因と考えられる院内トラブルが問題となっている。神経膠腫患者ではなくても、"入院する"ということは、ストレスフルなイベントであり、患者に対して心身両面からのアプローチが重要となるが、神経膠腫患者の場合には脳機能の障害に加えその病態のために、より問題が複雑化することが予測される。このような患者のケアに当たっては、事前にトラブルを予測し、危険を回避することが医療危機管理の側面からも有用であると言える。そこで本研究は神経膠腫患者に対し、臨床現場で広く用いられているミネソタ式人格目録(以下、MMPI)を実施し神経膠腫の人格特徴を明らかにする事を目的とした。2006年4月〜2010年9月の間に東京女子医科大学病院、脳神経外科病棟に入院した神経膠腫患者のうち、協力が得られた男女、計73名(男性:42名,女性:31名)に対してMMPIを実施した。また、本調査では、合計566項目に回答するMMPI-1を採用し、MMPI-1自動診断システムで解析を行った。結果は4種の妥当性尺度および10種の臨床尺度の得点で示され、それを男性、女性に層別したのち、各尺度の平均得点を健常群との差異についてt検定を用いて比較検討を行った。MMPIを施行した結果、男女共に有意差が確認された。有意差が見られたのは、男性では臨床尺度であるヒステリー(p<.01)、抑うつ(p<.05)、妥当性尺度である修正(p<.05)であった。また、女性では臨床尺度であるヒステリー(p<.05) や抑うつ(p<.05)、心気症(p<.01)においてそれぞれ有意差が見られた。この結果は、神経膠腫患者は健常者と比較してこれらの症状を強く示す傾向を持っていることを意味する。また、これまでの研究から転換ヒステリーや抑うつ心気症と脳内ネットワークとの関連が指摘されている。今回の研究から、神経膠腫患者のパーソナリティとしてこれらのパーソナリティの特徴が示され、神経膠腫患者の特徴を捉えた医療危機管理の必要性が示された。
2012-10-25

ミネソタ式人格目録を用いた神経膠腫患者に対する術前のパーソナリティ調査

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