鳥取大学蒜山演習林における広葉樹林の構造と動態
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
落葉性広葉樹林の林分構造と動態を明らかにするため,鳥取大学農学部附属蒜山演習林の二次林に10個のプロットを設置し,胸高直径4cm以上の樹木を対象に毎木調査を行った。プロット全体では,出現した樹種は18科40種,個体数(萌芽幹を含む)は992であった。樹種の優占度(胸高断面積の割合)は,ブナ科だけで61.2%を占め,特に,コナラとミズナラの割合が高かった。これらはサイズ分布の上層を占め,その他の科に属する樹種は下層に多かった。萌芽指数(萌芽幹数/主幹数)は,エゴノキ,ソヨゴ,アオハダが高く,ブナ科に属する種の萌芽指数は相対的に低い値を示した。D-H関係は,拡張相対成長式によく当てはまった。その係数hは,主幹のみの場合よりも,萌芽幹を含めた全体で回帰したときの方が1に近く,より安定したサイズ構造を持つことが示唆された。それぞれの樹種の優占度に基づく多様性指数(H')の値は,全体で3.432と高い値を示し,より未発達の林分は種数およびH'が低く,発達した林分ほど高い傾向が認められた。蒜山演習林の二次林は,森林の発達段階における樹幹淘汰期から下層再成期に相当すると考えられた。
- 1997-03-25
著者
関連論文
- 火入れが森林植生に与える影響 : 蒜山地域における火入れ実験の試み(火の文化と森林の生態)
- カラマツ人工林における単木影響圏の重複による個体競争の定量化と間伐木選木への適用
- 中国のモウコアカマツと日本のアカマツの二次林における林分構造と成長特性
- アカマツ二次林の林冠下に植裁されたスギ下層木の成長
- 暖温帯におけるアカマツ衰退後の二次林の管理に関する基礎的研究 : ブナ科3種およびタブノキの更新様式
- 鳥取市域における千代川の氾濫とエノキ・ムクノキ林の成立
- 落葉性広葉樹二次林におけるササ現存量と稚樹の成育様式
- 鳥取大学蒜山演習林における落葉性広葉樹二次林の樹種構成と種多様性 : 撹乱履歴の異なる2つのサイトの比較
- 植栽木の天然更新 : 鳥取大学構内のケヤキ稚樹の消息と成長
- GISを用いた国立公園大山における景観構造の解析
- ラジコン空中写真を用いた落葉広葉樹林の樹種判読
- 雪解け時期と気温上昇が稚樹の開葉フェノロジーに与える影響
- 市街地における緑化に関する研究 : 鳥取市市街化区域を対象とした意向調査を通して
- 鳥取大学蒜山演習林における広葉樹林の構造と動態
- 広葉樹二次林施業に関する基礎的研究 : 薪炭材採取後の落葉性広葉樹二次林の動態と再生様式
- 開放型チャンバーによる温暖化実験がコナラ種子の発達に与える影響
- 雪解け時期と気温上昇が稚樹の開葉フェノロジーに与える影響