雪解け時期と気温上昇が稚樹の開葉フェノロジーに与える影響
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概要
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本研究では、雪解け時期の違いが林床に生育する稚樹の開葉フェノロジーに対してどのような影響を与えるのかを明らかにすることを目的とし、アカマツに落葉広葉樹の混交する二次林内の積雪量の異なる2ヶ所にプロットを設け、開葉フェノロジーを3年間観察した。積雪量が多く、雪解け時期が遅い年ほど雪面下の温度と外気温の差が大きくなり、雪解けが遅かったプロットにおける開葉の進行は、雪解けが早かったプロットに比べ全体的に遅くなった。積雪量が少なかった年では、雪解け時期は早くなったが、4月の月平均気温が平年よりも低かったため、結果的に最も積雪の多かった年と同じような開葉度の推移を示した。これらのことから、稚樹の開葉は積雪が多い年では雪解け時期に、積雪量が極端に少ない年では春先の温度環境に大きく影響を受けると考えられる。また、雪解け時期の影響を、雪解けに伴う地表面の温度変動パターンの相違と見なして、実際の開葉日のばらつきを有効積算温量モデルを用いて評価したところ、開葉予測日との誤差が小さかったことから、有効積算モデルによって、雪解けの時期の影響を量的に評価できることが示唆された。
- 日本生態学会の論文
- 2012-07-30
著者
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