落葉性広葉樹二次林におけるササ現存量と稚樹の成育様式
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
鳥取大学蒜山演習林の落葉性広葉樹二次林のササ型林床における稚樹の成育様式について解析した。樹高2 m以上の上木の出現種数は25種で, 樹高2 m未満の稚樹はカエデ類を始めとする17種が出現した。チシマザサの桿密度(平均±標準偏差)は23.4±9.0 m^<-2>, 桿高は121.0±14.9 cm, 乾燥重量は453.9±260.5 g・m^<-2>であった。稚樹の分布様式は集中分布で, ササ現存量と負の分布相関を示した。稚樹の樹齢構造より, ウリハダカエデとミズナラに比べ, イタヤカエデ, コハウチワカエデ, ヤマモミジ, ウワミズザクラは耐陰性が高いと考えられた。伸長成長量は, 最も高いウワミズザクラで2.81±1.35 cm・year^<-1>と低く, ササ高を超えるには数十年を要するため, これらの稚樹がササの被圧から抜け出すのは難しいと推察された。稚樹密度のピークは, ササ量指数3,000 cm・m^<-2>(乾燥重量466.3 g・m^<-2>)未満にあり, ササ現存量をこれ以下にコントロールすることが, ササ型林床における天然更新の条件になると考えられる。
- 1998-11-16
著者
関連論文
- 火入れが森林植生に与える影響 : 蒜山地域における火入れ実験の試み(火の文化と森林の生態)
- カラマツ人工林における単木影響圏の重複による個体競争の定量化と間伐木選木への適用
- 中国のモウコアカマツと日本のアカマツの二次林における林分構造と成長特性
- アカマツ二次林の林冠下に植裁されたスギ下層木の成長
- 暖温帯におけるアカマツ衰退後の二次林の管理に関する基礎的研究 : ブナ科3種およびタブノキの更新様式
- 鳥取市域における千代川の氾濫とエノキ・ムクノキ林の成立
- 落葉性広葉樹二次林におけるササ現存量と稚樹の成育様式
- 鳥取大学蒜山演習林における落葉性広葉樹二次林の樹種構成と種多様性 : 撹乱履歴の異なる2つのサイトの比較
- 植栽木の天然更新 : 鳥取大学構内のケヤキ稚樹の消息と成長
- GISを用いた国立公園大山における景観構造の解析
- ラジコン空中写真を用いた落葉広葉樹林の樹種判読
- 雪解け時期と気温上昇が稚樹の開葉フェノロジーに与える影響
- 市街地における緑化に関する研究 : 鳥取市市街化区域を対象とした意向調査を通して
- 鳥取大学蒜山演習林における広葉樹林の構造と動態
- 広葉樹二次林施業に関する基礎的研究 : 薪炭材採取後の落葉性広葉樹二次林の動態と再生様式
- 開放型チャンバーによる温暖化実験がコナラ種子の発達に与える影響
- 雪解け時期と気温上昇が稚樹の開葉フェノロジーに与える影響