バングラデシュにおける熟練労働力の形成 : パネル調査による検証
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概要
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本研究は2003年以前に行った調査から約10年経った現在、日系資本および現地系資本の製造業を対象に再び現地調査を行い、生産環境や競争戦略の変化、それに伴う人的資源管理(HRM)システムや技能形成プロセスの変化を、3つの仮説を検証することを通じて考察した。バングラデシュ経済が大きな変革期に差しかかっている時期、このようなパネル調査を行う事によって幾つかの新たな学術的成果を出すことができた。第1に、第1仮説の「長期的な雇用に基づく内部昇進制の導入は労働者の技能形成に資する可能性が高い」に関しては、日系企業の内部昇進制度はほぼ完全に確立されたと言うことができる。第2に、第2仮説の「労働者にとって、オープン、且つ公正な金銭的誘因を持ったHRMシステムの存在は労働者の技能形成を促進することができる」に関しては、日系企業、現地系企業ともに職務遂行能力に対する報酬である資格給の導入が大幅に進んでいる。第3に、第3仮説の「労働者が職場内の複数の職務や関連した隣の職場の職務を経験することは、彼らの技能の幅を広げるだけではなく、機械・設備の異常に対処できる深い技能を習得することにも資する」に関しては、今回のパネル調査により見事に検証された。
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