TaranathaのdBu ma theg mchogに説かれる二諦説
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概要
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チベット仏教のチョナン派のTaranatha Kun dga' snying po (1575-1635)によるTheg mchog shin tu rgyas pa'i dbu ma chen po rnam par nges pa (dBu ma theg mchog)の第7章は,「二諦の決択」というタイトルで二諦説が論じられている.本章の特徴をまとめると,次のようになる.1.Taranathaの二諦説は,MaitreyaのMahayanasutralamkaraとMadhyantavibhaga,そしてNagarjunaのMulamadhyamakakarikaを引用して議論がなされている.ただし,その度合いはMaitreyaのテキストが中心となっている.2.二諦説は三性説に基づいて解釈されており,円成実性である勝義諦は法界・真如・如来蔵などの語により説明されている.これらのことから,彼の立場は同じチョナン派のDol po pa Shes rab rgyal mtshan (1292-1361)の他空説の立場を継承するものである.3.TaranathaのテキストにはDol po paへの直接の言及は見られないものの,その注釈書には彼のbDen gnyis gsal ba'i nyi maの引用も見られ,同論と重なる記述を多数見ることができる.Vasubandhuに帰される『般若経注』も同じように引用されることからも,本章は同論に基づいて著された可能性がある.
- 2012-03-25
著者
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