野菜畑土壌におけるカドミウムの施用資材による負荷量と可食部および作物残さによる持出し量
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概要
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トマト,キャベツおよびダイコンを栽培し,カドミウムの施用資材による負荷量と可食部および作物残さによる持出し量を調査した.各栽培土壌のカドミウム負荷量は,堆肥やリン酸肥料に由来するものが多く,堆肥施用によりトマト(6.8g ha^<-1>)>キャベツ(4.5g ha^<-1>)>ダイコン(3.5g ha^<-1>)であり,堆肥無施用ではトマト(2.6g ha^<-1>)>キャベツ(2.4g ha^<-1>) >ダイコン(1.3g ha^<-1>)であった.トマト,キャベツおよびダイコンのカドミウム吸収量は,堆肥施用の有無による有意差は認められず,それぞれ堆肥を施用した場合に34, 2.3および2.7g ha^<-1>であり,トマトの吸収量はキャベツやダイコンに比べて多かった.このうち,可食部による吸収量は全体に比べて少なく,トマト,キャベツおよびダイコンでそれぞれ3.8, 0.63および0.95g ha^<-1>であった.カドミウム負荷量と持出し量の差(負荷量-持出し量)は,持出し量によって結果が大きく異なった.吸収量が多く地上部を全て持出すトマト圃場において,堆肥施用の有無にかかわらず負の値を示した(堆肥施用で-27,無施用で-34g ha^<-1>).一方,吸収量が少なく,かつ可食部のみ持出すキャベツ(堆肥施用で+3.9,無施用で+1.9g ha^<-1>)やダイコン(堆肥施用で+2.5,無施用で+0.41g ha^<-1>)圃場では,正の値を示した.したがって,トマトを栽培することにより土壌のカドミウムは減少し,キャベツやダイコンの場合は蓄積すると推定された.
- 一般社団法人日本土壌肥料学会の論文
- 2011-06-05
著者
-
中住 晴彦
北海道立道南農業試験場:(現)北海道立中央農業試験場
-
中住 晴彦
北海道立中央農業試験場
-
細淵 幸雄
北海道立道南農業試験場
-
細淵 幸雄
(地独)北海道立総合研究機構道南農業試験場
-
林 哲央
(地独)北海道立総合研究機構道南農業試験場
-
中住 晴彦
(地独)北海道立総合研究機構道南農業試験場
-
林 哲央
(地独)北海道立総合研究機構道南農業試験場:(現)(地独)北海道立総合研究機構花・野菜技術センター
-
中住 晴彦
(地独)北海道立総合研究機構道南農業試験場:(現)(地独)北海道立総合研究機構中央農業試験場
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