温泉水で加温される周年被覆ハウス土壌のホウ素蓄積およびトマト,キュウリの過剰症状発生とその軽減対策
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概要
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温泉熱を加温に利用している周年被覆ハウスにおいて,トマトやキュウリのホウ素(B)過剰症状が認められた.本報では,これらのハウス土壌におけるホウ素の蓄積と過剰症状の原因を明らかにし,これらの軽減対策を検討した.温泉熱利用ハウス土壌の熱水可溶性ホウ素含量は高く,1mgkg^<-1>を超えるところが多く,最大11.4mgkg^<-1>であった.温泉水のホウ素濃度(平均で約15mgL^<-1>)は,かん水に使用される沢水(0.1mgL^<-1>以下)より有意に高かった.したがって,温泉水のハウスへの流入が土壌のホウ素レベルを高め,トマトやキュウリのホウ素過剰症状を発生させたと考えられた.用量試験の結果,トマトのホウ素過剰症状は熱水可溶性ホウ素として8mgkg^<-1>程度で認められたが,収量は減少しなかった.一方,キュウリでは2mgkg^<-1>程度で認められ,4mgkg^<-1>より高くなると1次側枝の発生本数が減少した.1次側枝が減少すると,その部分に着果する果実が見込めなくなることから減収した.積雪期に被覆を除去することにより,土壌のホウ素は溶脱され,熱水可溶性ホウ素含量はキュウリの1次側枝の発生本数が減少しない水準(4mgkg^<-1>未満)まで低下した.
- 2013-08-05
著者
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細淵 幸雄
(地独)北海道立総合研究機構道南農業試験場
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日笠 裕治
(地独)北海道立総合研究機構中央農業試験場
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日笠 裕治
(地独)北海道立総合研究機構道南農業試験場:(現)(地独)北海道立総合研究機構中央農業試験場
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