佐渡・羽茂町で栽培されたホソバオケラの形態観察と精油分析
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概要
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ホソバオケラAtractylodes lancea Dc. (Compositae)は日本薬局方および中華人民共和国葯典に収載されている蒼朮の基原植物の一つである.安江,後藤らによって詳しく考察されているように,本植物は江戸時代に中国からわが国に導入され,新潟県佐渡郡でも栽培されていた.現在,佐渡では薬用植物としてのホソバオケラの裁培は行われていないが,羽茂町ではこれを町の花に指定してその増殖を行っている.すなわち,1982年から始まった新潟産生薬開発推進関連事業の一環である優良種苗保存事業として町内の山から約200株を採集して「佐渡オケラ原種圃場」で栽培されている.後藤らはすでに佐渡の野生または植栽ホソバオケラの個体別の植物形態学的観察および薄層クロマトグラフィー(TLC)などによる精油の定性分析の結果について報告している.しかし,「佐渡オケラ」の個体別の精油成分の分離定量に関する報告は見あたらない.そこで,今回,我々は羽茂町で増殖中のホソバオケラの薬用植物としての品質評価を行うための予備的な調査として8個体を取り上げて個体別に形態観察およびガスクロマトグラフィー(GLC)による精油成分の分離定量等を行った.その結果,精油主要成分の含量が中国産蒼朮に匹敵する個体も認められる一方,植物の形態および精油の微量成分の,点で問題も含まれていることが明らかになったので報告する.
- 日本生薬学会の論文
- 1993-03-20
著者
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