教員の資質能力の向上を図る「履修カルテ」導入の諸問題
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概要
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世紀を跨ぎ90 年代から2012 年の現在に至る教員政策の方向は、教員養成の現場からすれば、一貫して厳格化の道をたどっている。特に指導力不足とされる教員、適格性に問題のある教員を教壇に立たせないと発想を掲げる教員政策は、教員評価を中心とする教員人事管理システムの導入・実施に結びついた。指導力ある教員を求める社会的要請は、教員構成上の世代交代期のなかで、教員養成段階の改善要求と結びつくこととなった。中央教育審議会は、教員に対する信頼性確保のための教職課程改革推進を答申(2006.7.11.)した。「履修カルテ」の導入は、大学の教員養成のあり方、すなわち教職課程改革をねらいとする施策である。教員養成分野に限らず、産官学は連携して人材養成の緊急性と重要性に気づき、いま、ネット上には「カルテ」の導入事例がさまざまに見られる。本稿では、教職課程の運営及び教職志望学生の指導にたずさわってきた視点から、教職志望学生の「実践的指導力」育成と教職課程への「履修カルテ」導入の意味と問題について検討する。
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