大阪の枚方遊園で開催された日向博覧会 -紀元二千六百年奉祝と地方・新聞社・鉄道会社-
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概要
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本稿では、紀元二千六百年奉祝の一環として、1940年に大阪・枚方遊園で開催された「肇国聖地日向博覧会」(日向博)をとりあげる。日向博はこれまで言及されることがほとんどない、いわば忘却された博覧会であるが、残された資料をもとに考察した結果、以下の点が明らかになった。第一に、紀元二千六百年奉祝事業をめぐる地方間、新聞社間、鉄道会社間の競争と対抗関係から、宮崎県一大阪毎日新聞一京阪電鉄の間に連携が生じ、この連携のなかで同博覧会が開催されたこと。第二に、同博覧会は「聖地巡拝」という名の観光(聖蹟観光)をテーマとしており、それは「肇国の聖地・日向」の立体パノラマによるスペクタクル化によって表象され、都市中間層を聖蹟観光に動員しようとするものであったこと。第三に、「おきよ丸」による神武東遷の再現航海事業と日向博が結びつけられていたこと。その背景には、ともに神話あるいは肇国の聖地のスペクタクル化であるという両者の共通性が存在すること。第四に、日向博における都市中間層の動員、「聖蹟観光」における皇室ブランドの活用などは、戦後の宮崎観光(新婚旅行ブーム)に姿を変えて引き継がれていった可能性が示唆されたこと。
- 2012-03-02
著者
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