保守系オピニオン誌における外国人言説(2)-1990年代後半における雑誌『SAPIO』を中心に-
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概要
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本稿では引き続き雑誌『SAPIO』における外国人言説の分析を、1990年代後半、分析上の時期区分では第三期および第四期前期に該当する雑誌記事を中心に行った。第三期においては「外国人の定着化」が語られると同時に、それがもたらす「日本社会」や「われわれ=日本人」のナショナル・アイデンティティの揺らぎと不安が語られたが、在日外国人に対する<有益な外国人>-<有害な外国人>という二項対立的な図式によるカテゴライズは現れなかった。第四期前期の特集記事では、在日外国人が強い主体としてイメージされる傾向が強まると同時に、<有益な外国人>と<有害な外国人>という二項対立的イメージの混在がみられた。これは在日外国人が強い主体としてイメージされる時、その強さはホスト社会とそのマジョリティにとって利用可能なものでもある一方で、その強さは時に犯罪などのリスク源としても認知されうること。前者であれば<有益な外国人>イメージに、後者であれば<有害な外国人>イメージに強く結びつけられること。さらに強い主体としての在日外国人と日本社会・日本人がいかなる関係性を結びうるのか未確定であるとの認識が、記事における在日外国人のイメージにおける<有益な外国人>-<有害な外国人>という二項対立的なイメージの混在状況を生じさせたことが明らかになった。
- 2008-03-07
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