重度の上顎前突における治療前後の硬,軟組織側貌変化 : 上顎前歯歯槽部骨切り術を用いた外科的矯正治療と大臼歯抜去を行った矯正単独治療との比較
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概要
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小臼歯抜去による矯正治療では,改善が困難な重度の上顎前突に対しては,小臼歯抜去に加え大臼歯抜去を追加した矯正単独治療,あるいは顎矯正手術を併用した外科的矯正治療が選択される.本研究では,重度の上顎前突に対して外科的矯正治療と矯正単独治療を適用した症例を対象とし,治療前後における硬組織の変化および軟組織側貌の変化について比較検討することを目的とした.対象は,上顎前歯部骨切り術と両側下顎枝矢状分割術を併用して外科的矯正治療を行った女性9名と,上下両側小臼歯に加え上顎両側大臼歯を抜去して矯正単独治療を行った女性9名とした.資料として,治療前後に撮影した側面頭部エックス線規格写真を用いた.トレース後,N点を通りFH平面と平行な直線をX軸とする座標系を設定し,28項目について計測を行い,計測値および変化量の平均値と標準偏差を算出し,Wilcoxon検定および,t検定により統計学的に検討した.治療前では両群間で有意差のある計測項目は認められなかった.治療後では,U1-SNとA点相当部軟組織の厚みに有意差を認め,矯正群では上下顎の骨格的不調和を補償的に改善するため上顎前歯をより舌側傾斜させていた.一方,治療前後の変化では,両群ともに鼻下点,上唇点,軟組織A点が後方移動していた.軟組織B点,軟組織Pogは,外科群では前方に移動していたのに対して,矯正群では後方に移動していた.重度の上顎前突の治療方針立案にあたっては,今回得られた治療に伴う硬・軟組織の変化の傾向を十分踏まえるべきと考えられた.
- 2010-10-25
著者
-
齋藤 功
新潟大学大学院医歯学総合研究科歯科矯正学分野
-
森田 修一
新潟大学大学院医歯学総合研究科咬合制御学分野
-
森田 修一
新潟大学大学院医歯学総合研究科歯科矯正学分野
-
森田 修一
新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔生命科学専攻摂食環境制御学講座咬合制御学分野
-
八巻 正樹
新潟大学大学院医歯学総合研究科歯科矯正学分野
-
森田 修一
新潟大学歯学部歯科矯正学教室
-
齋藤 功
新潟大学大学院医歯学総合研究科 摂食環境制御学講座 歯科矯正学分野
-
齋藤 功
新潟大学大学院医歯学総合研究科
-
八巻 正樹
新潟大学大学院医歯学総合研究科 摂食環境制御学講座 歯科矯正学分野
-
三瀬 泰
新潟大学大学院医歯学総合研究科歯科矯正学分野
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