「都心回帰」時代のマンション住民と地域社会 : 大阪市北区のマンション調査から
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概要
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1960年代後半以降,都市人口の郊外化によって人口減少が続いていた大阪市の人口は1990年代後半になると減少から緩やかな増加へと転じ,2010年国勢調査においてもその増加傾向は確認されている。これらの人口の増加の原因は,都心部に大規模なマンションが建ち,そこに大量の住民が移住してきたことによるもので,これを「都心回帰」現象と呼ぶこともできる。本稿の目的は,この人口の「都心回帰」により大きな変動を余儀なくされている大阪市北区のマンションに住む住民約1000人へのアンケート調査で得られたデータの解析により,新住民と旧住民(地域コミュニティ)との関係についての新たな状況を明らかにしようとするものである。その際,調査対象マンションを,その建築年によって新旧に分け,また所有(分譲・賃貸)の違い,居住世帯の形態(ファミリーか単身者か)の違いにより,5つに分類して分析を行った。それにより,新住民と旧住民との「つながり」にもかなりの差異があることがわかった。特にワンルーム型マンションおよび新しいタワー型・賃貸マンションに住む住民は,マンション住民どうしもマンション住民と地域の住民との関係もかなり稀薄であることが明らかとなった。また,若い世代が多い賃貸マンションの住民は,地域の情報を得る媒体として,マンション内の掲示板,戸別に配布されるチラシ・広報などとともに,インターネットによる情報の収集を行っていることが判明した。
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