220 大規模金属系解析のための拡張半経験的分子軌道法の開発(OS15.電子・原子・マルチシミュレーションに基づく材料特性評価(6),オーガナイズドセッション)

概要

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原子炉構造材料であるステンレス鋼の腐食挙動を理解することは、現行軽水炉で問題となっている応力腐食割れの機構解明に対して大きな助力となる。金属系の腐食解析を行う方法の一つとして、計算機を用いた量子論的シミュレーションがあげられる。しかし、第一原理計算で扱える原子数は最大100個程度であることから、ランダム粒界のような対称性が悪く多数の原子数を必要とする系を扱うことは困難である。大規模金属系に対し量子論的解析を行うためには、第一原理計算に代わる新しい手法が必要である。本研究では、大規模金属系解析のための新しい解析手法の開発を行った。本手法では、量子解析部に第一原理計算よりも計算速度が速い半経験分子軌道法を用い、また解析対象の系をサブクラスターに分割しそれぞれに対して量子解析を行うことで、精度よく大規模金属系の量子解析を行うことを可能としている。本手法を用いてbcc鉄中に不純物として酸素原子が挿入された系の原子間結合エネルギー解析を行い、不純物のない状態と比較して結合エネルギーが弱い領域があることが明らかになった。
一般社団法人日本機械学会の論文
2008-11-01