資源を保有すること、活用することの意味 : 有限世界での構想(第4報告,経営の原点を探る-智慧興しの技-)
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概要
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本報告では20世紀後半までの、モノ、カネに過度にエネルギーを集中した企業経営の問題点を明らかにしたうえで、今後目指すべき企業経営の方向を示唆することに注力した。根底には、企業も消費者も共に資源の所有、占有、占用を目指し、周囲や環境、地球などの共生態の存在を軽視したことがあげられよう。自我中心主義がその典型である。しかし最近、これまでとは若干異なった動きが出始めていることに気づいた。その動きとは、共有、共用、共同保有行動のことである。浪費の愚かしさに気づき、資源の有効利用を展開するきざしが企業のみならず個人レベルでもかいま見られる。いわゆるシェア行動である。元来、何らかの形で企業や社会組織に籍をおくヒトは、アイディアや智慧、悩みなどを電話、メール、立ち話、飲み屋、喫茶店などで仲間と交換している。それを制度化すればかなりの程度、資源活用の質量が変化してくるはずである。本報告では、資源、経営の言葉の原点を探りそこから発展的にみえてくる資源活用の方法を探った。今、資源の限界性が問題になっている。地球的規模での資源有効活用が求められている。保有の前提として所有があるのではない。利用する主体が関係者との間で合生(ごうせい)するかたちで、経営に臨むことが求められている。不透明な時代、あらゆることを事前に察知して備えることは、無意味に近い。論理の緻密性よりも思い切った決断の重要性が経営主体にとってときに必要なことについてもふれる。
- 2011-06-17
著者
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