「超自然的強制」が支える森林資源管理 : インドネシア東部セラム島山地民の事例より
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概要
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世界のさまざまな地域では、超自然的存在やそれが持つ力への視点を抜きにしては捉えられないような、数かずの「在地の資源管理(Indigenous Resource Management:IRM)」が行われている。資源管理や自然保護をめぐっては「コミュニティ基盤型」あるいは「参加型」アプローチの有効性・必要性が叫ばれて久しいが、人類学的コモンズ論をはじめとして自然資源管理をめぐる議論では、地域の人びとの超自然観と密接に結びついているIRMを十分に主題化してきたとは言い難い。そこで、本研究ではインドネシア東部セラム島の内陸山地部をフィールドに、日々の暮らしに欠くことのできない狩猟資源の利用をめぐる秩序が、山地民と超自然的存在とのかかわりあいのなかで、どのように生み出され,維持されているのかを、可能な限り山地民の生活世界に入り込みながら仔細に描き出すことを試みた。その上で、そうした超自然的強制に支えられたIRMと地域の社会文化的コンテクストとのあいだにどのような適合性がみられるのかを検討し、超自然的存在との相互関係のなかで資源利用秩序を生み出している地域の人びとの営為に目を向けてゆくことが、「超自然的存在と共に生きている人びと」が主体性を発揮しえる資源管理・自然保護を模索・推進してゆく上で重要であることを指摘した。
- 2011-03-31
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