多変量解析による産後1ヵ月までの母親の児への愛着に関連する要因分析

概要

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本研究は,出産後早期の母子愛着を効果的に高めるケアの提示を目的として,健康な正期産児を経膣分娩した産褥婦56名を対象に,妊娠・出産に対する心理要因,夫を含めた家族関係や支援者の有無,産科的要因,skin-to-skin contact(SSC)の実施時間,産後の精神状態などと産褥3日目,5日目,1ヵ月健診時における児への愛着との関連を検討した。個人の情報は,愛着尺度(MAI)日本語版,マタニティブルーズ(MB)自己質問票およびエジンバラ産後うつ自己評価表,診療録などを用いて収集した。その結果,3時点のMAI得点は互いに,強い相関がみられた。産褥3日目のMAI得点は,互いに独立して3日目までのMB得点,母親の職業あり,里帰り分娩ありが負の関連,胎動の喜びと妊娠判明時の夫の喜びの態度が正の関連を示した。次いで,産褥5日目のMAI得点は,3日目のMAI得点に関連していたMB得点,胎動の喜び,妊娠判明時の夫の喜びの態度に加えて,SSCの実施時間が先の要因と独立して正の関連を示した。1ヵ月健診時のMAI得点とは,重回帰分析では互いに独立して関連を示す要因はみられなかったが,単相関分析では妊娠判明時の夫の喜びの態度,夫の妊娠時の協力,結婚への肯定感が有意な正の関連を示した。以上より,産後の児への愛着形成に関連する要因は変化するが,各時期に有効なケアや支援を行うことが先に続く児への愛着につながる可能性が示唆された。

多変量解析による産後1ヵ月までの母親の児への愛着に関連する要因分析

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