集団保育における年少児の着席行動の時系列分析 : 「お誕生会」の準備過程を対象として
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
集団的な保育活動において一斉に着席する活動は,そこに参加する幼児自身によってどのように達成されているのだろうか。この問いに関し,保育所の3〜4歳児(年少児)クラスを対象として,自由に遊ぶ活動が終了してから,全員が着席し「お誕生会」が始まるまでの準備過程を,年少児が保育所に参入した直後の3ヶ月間に渡って検討した。「お誕生会」の映像をビデオで記録し,それが開始される直前の過程で年少児と保育者の行った発話およびイスへの着席行動を分析したところ,以下のことが明らかとなった。集団レベルで見ると,4月から6月にかけて起きた変化として,「お誕生会」の開始までに要する時間が短くなった。この変化は,少なくとも2つの変化によって生じていた。第一に,4月にはなかなか着席しなかった幼児が6月にはすぐに座れるようになること,第二に,4月には座ったり立ち上がったりを繰り返していた幼児が,6月には一度座った席から離れなくなったことであった。以上の結果から,一斉に着席する活動が,ただ単に「座ること」ではなく「立たずに座り続けること」によって実現されていたことが明らかとなった。この結果に関して,立つという行動が集団の中でもつ意味の変化という観点から検討した。
- 2011-03-20
著者
関連論文
- 状況論的学習観における「文化的透明性」概念について:Wengerの学位論文とそこから示唆されること
- アートに"なる" : 認知と活動のコンフリクトから芸術教育を再考する(自主シンポジウムD7)
- PA1-10 音韻意識の形成過程の多様性を探る試み(3)(発達)
- PD006 音韻意識の形成過程の多様性を探る試み : 語彙知識との関連から
- K539 一斉授業において児童は発話をどのように聞いているのか(2) : 教師と児童の視線配分の関連性(口頭セッション89 語り・発話・学び2)
- 幼児の会話における引用の多様性と発達 : 「いらっしゃいませー」と「友達になろうって言ってるみたいって言ってね」
- 教室環境における言語発達の分析に向けた記述の枠組み
- PD11 保育園のお集まり場面における一斉発話の相互行為的創出
- PF39 保育室での「お誕生会」における参加構造の創発と創出(発達,ポスター発表F)
- 集団保育における年少児の着席行動の時系列分析 : 「お誕生会」の準備過程を対象として
- 養育実践を学校に導入するために
- 小学校の一斉授業における教師と児童の視線配布行動(相互作用のマルチモーダル分析)
- 26-J-21 教室での身体的なコミュニケーションからとらえる学び(自主企画)
- P4-35 一斉授業において児童は発話をどのように聞いているのか(4)(教授・学習,ポスター発表)
- 26-J-05 実践のアンサンブルをどう読み解くか : 状況論・活動理論の実際(1)(自主企画)
- 24-J-12 心理学研究・教育における理論の役割を考える(自主企画)
- 保育所での活動間移行過程における子どもたちによる呼びかけ行動の分析
- 浜田寿美男著, 『私と他者と語りの世界』, ミネルヴァ書房, 2009年
- 保育所での活動間移行過程における子どもたちによる呼びかけ行動の分析
- PF-046 幼児期における文字の利用II : 幼児の絵本作り活動における文字の機能と文字獲得水準(発達,ポスター発表)
- JC06 改めて保幼小接続を考える : 滑らかな接続の意味するところ(自主企画シンポジウム)
- G7. 教室談話研究の現在と展望(自主企画シンポジウム)
- PA-011 小学校国語授業での一斉読みにおける個々人の読み方の調整過程(教授・学習,ポスター発表)
- PA036 4歳児はいかにして会話を組織するか : 「聞き手」の獲得に注目して(ポスター発表A,研究発表)