審美性歯面コート材下エナメル質に獲得される耐酸性

概要

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ホワイトニング直後の歯面は脱灰を受けやすいという報告が存在する.BeautiCoat(以下BCと示す)は,S-PRGフィラー配合の白色系フッ化物徐放性フロアブルレジンであり,歯面全体を薄くカバーすることによりホワイトニングとしての役割をもった暫間的な審美回復材料としての特徴をもつ.また,同時にHiLite(以下Hiと示す)等でホワイトニングを行った歯面が安定化するまでに使用する暫間的なホワイトニング修復材としての性格も兼ね備えている.この研究では,BCで被覆したHi処理エナメル質面の耐酸性を測定した.35本のウシ下顎中切歯歯冠部より切り出したエナメル質片を2×3mmの試験面を残してバーニッシュした後,以下の5群,すなわち,Control群:非処理の試験片を人工唾液(1.5mM CaCl_2,0.9mM KH_2PO_4,130mM KCl,20mM Hepes,pH7.0)に浸漬した群,Hi群:試験面にHiを3回適用後,人工唾液に浸漬した群,BC(+pr.)群:付属のプライマー塗布後,BC処理し人工唾液に浸漬した群,Hi/BC(+pr.)群:Hiを3回適用した試験片に付属のプライマーを処理後,BC処理し人工唾液に浸漬した群,Hi/BC群:Hiを3回適用した試験片にBC処理し人工唾液に浸漬した群に分類した.人工唾液に10日間浸漬後,BCを一塊として除去し,脱灰溶液(0.1M乳酸2層法pH4.6)に37℃,10日間浸漬した.これら試料をレジン包埋した後,150μmの薄切切片を作製し,ミネラルプロファイルと病巣のミネラル喪失量(IML)を求めるため,transversal microradiographyを用い,ミネラルプロファイルを作成した.耐酸性能の比較は,ミネラル喪失量(IML)を測定することにより検討した.ミネラルプロファイルでは,Control群,Hi群に比較し,他のBC処理群は,病巣体部での脱灰抑制傾向が認められた.Hi/BC群はHi/BC(+pr.)群に比較し,ミネラル密度が高く維持され,脱灰がさらに抑制される傾向を示した.IMLの比較では,BC(+pr.)群とHi/BC群はControl群,Hi群と比較し,脱灰がより抑制された(p<0.05).エナメル質がBCで覆われた場合,特にプライマー非使用下では唾液をシミュレートした人工唾液への浸漬によってエナメル質とBC間の微小空間領域でS-PRGフィラーから徐放されたフッ化物の一部がエナメル質表面に沈着すると思われる.このフッ化物が病巣進行の抑制に寄与し,その後脱灰液への浸漬によってエナメル質は溶解するが,表面に沈着したフッ化物から遊離したフッ化物イオンがエナメル質から遊離したカルシウムおよびリン酸イオンと相まって再石灰化が生じ,結果として脱灰が抑制されたものと考えられる.以上の結果から,Hi等で漂白されたエナメル質をBCで一定期間被覆することにより,適用下エナメル質に耐酸性を付与できることが確認された
2009-04-30

審美性歯面コート材下エナメル質に獲得される耐酸性

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