WFS1複合ヘテロ変異を認めたWolfram症候群女性の長期予後と医療管理

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Wolfram症候群(diabetes insipidus and mellitus with optic atrophy and deafness; DIMOADMIM#222300)は、尿崩症、若年発症の糖尿病と視神経萎縮、感音性難聴を主徴とする常染色体劣性遺伝疾患である. 症例は女性.7歳時に糖尿病と尿崩症と診断され、18歳時当院初診時には視神経萎縮と難聴を、また21歳時に神経因性膀胱を、さらに44歳時からは神経精神症状と中枢神経症状を認めた.経過中は毎年1回入院し、病状の評価ならびに治療内容の確認を続けた. WFS1遺伝子の第8エクソンの5アミノ酸欠失に相当するin frame deletion(15塩基)と第8エクソンのストップコドンを認め、複合ヘテロ型変異であった.48歳時、食欲不振のため第22回目の入院をし、繰り返す尿路感染症の治療に難渋したが、最終的に一時軽快し、一旦は退院できた.しかし、退院約1週間後に49歳で自宅において死亡した.本例はWolfram症候群としては長期間生存し、かつ一施設において30年という極めて長い期間、経過観察できた症例である.注意深い経過観察のもと、尿路系の合併症を評価して感染症を防止し、その他の合併症に対する処置を適宜追加し、さらに適切な糖尿病治療を継続することにより長期間安定した経過を辿り、平均寿命とされる30歳をはるかに超える49歳まで生存しえた貴重な症例と考えられた.
2011-03-31

WFS1複合ヘテロ変異を認めたWolfram症候群女性の長期予後と医療管理

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