高齢者における耐糖能異常と前頭葉機能-Frontal Assessment Batteryを用いた解析

概要

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高齢2型糖尿病集団の前頭葉機能を、Frontal Assessment Battery(FAB)を用いて検証した。対象は土佐町長寿健診コホートでOGTTを行い正常耐糖能、境界型、糖尿病と診断した75歳以上の高齢者178名(平均年齢81.3歳、正常耐糖能96名、境界型58名、糖尿病24名)である。前頭葉機能の指標として神経心理課題検査であるFABを施行し、認知機能の指標としてMini Mental State Examination (MMSE)、身体・行動機能指標としてUp and Goテスト、Functional reachテストを施行した。また生理学的ならびに血液生化学的指標として血圧、HbA1c、脂質、甲状腺機能を測定し、前頭葉機能との関連を検討した。FABのGoNoGo課題 (衝動抑制課題)において耐糖能による成績差を認め、糖尿病群は有意に成績不良だった(正常耐糖能vs.糖尿病群, P=0.002)。MMSEおよび身体・行動機能指標はいずれの群も正常範囲内だった。耐糖能(OGTT)と身体・行動機能(Up and Goテスト)は、年齢、MMSE、各背景因子で補正後も、GoNoGo課題の成績不良と独立して関連していた(OGTT:Odds 比2.31, 95%CI 1.38-3.88, Up and Goテスト: Odds 比1.11, 95%CI 1.01-1.23)。高齢2型糖尿病集団では、全般的な認知・身体行動機能とは独立した前頭葉機能(衝動抑制能)低下が存在することが示唆された。
2011-03-31