糖尿病性腎症による末期慢性不全患者に対する腹膜透析の適正

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わが国における腹膜透析患者の割合は全透析患者の3.4%にすぎないが、糖尿病性腎症では2.6%とさらに少ない。当施設において経験した、糖尿病性腎症による腹膜透析患者の生命予後と、腹膜透析の最も重大な合併症である腹膜炎の頻度について調査し、糖尿病性腎症患者における腹膜透析の適性について検討した。,東京女子医科大学糖尿病センターにおいて、1986年12月以降2010年9月までに126名の糖尿病性腎症患者に対して腹膜透析を開始した。126名中102名 (81.0%) は腎不全治療として当初から腹膜透析を選択し、他の24名は血液透析からの移行あるいは移植腎機能喪失後の透析再導入であった。腹膜透析にて透析導入を行った患者の年齢は平均 (±標準偏差) 54±14 歳、性別は女性29名 (28.4%)、男性73名 (71.6%) 、糖尿病型は1型14名 (13.7%)、2型88名 (86.3%)であった。生存率は5年58.5%、10年21.0%であった。全例における腹膜炎の発症を検討した結果、腹膜炎を発症した患者は47名であり、腹膜炎の発症頻度は0.19回/患者・年であった。,日本透析医学会の統計調査では、わが国で1983年以降に導入された糖尿病性腎症患者の5年、10年生存率はそれぞれ50.8%、24.0%であり、当施設における糖尿病腹膜透析患者の生存率は10年生存率ではやや下回ったが、5年生存率は良好であった。一方、2005年の全国調査における腹膜炎の発症率は0.16回/患者・年であり、当施設における腹膜炎の発症率0.19回/ 患者・年と比較して、ほぼ同等と考えられた。以上、長期生命予後および腹膜炎発症頻度からみて、糖尿病患者における腹膜透析は、血液透析と同等に選択されるべき治療法と考えられる。?
2011-03-31

糖尿病性腎症による末期慢性不全患者に対する腹膜透析の適正

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