糖尿病性腎症における疾患関連遺伝子研究の現状

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糖尿病性腎症は末期腎不全の原因として最も高頻度に認められる疾患である.種々の疫学研究より、糖尿病性腎症の発症・進展に環境因子および遺伝因子の両者が影響していることは周知のことであるが、とりわけ、糖尿病性腎症の発症には家族内集積性が認められることから、遺伝因子の関与が想定されている.,糖尿病性腎症における遺伝子研究の手法として、疾患群・比較対照群を用いたアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 遺伝子などの候補遺伝子解析があげられる.また、全ゲノムスキャンによる連鎖解析では、ピマインディアン家系を用いた解析において第3、7および20染色体が疾患感受性を示し、1型糖尿病者を対象とした研究では第3染色体が腎症との関連を認めたと報告されている.,近年、ゲノムワイド関連解析(genome-wide association study; GWAS)が行われるようになり、我が国においても糖尿病性腎症疾患関連遺伝子研究としてGWASが行われた.その結果、今日までにsolute carrier family 12 (sodium-chloride cotransporter) member 3 gene (SLC12A3), engulfment and cell motility 1 (ELMO1), neurocalcin delta (NCALD) および acetyl-coenzyme A carboxylase beta (ACACB)が糖尿病性腎症の新規候補遺伝子として報告されている.,新規疾患関連遺伝子の解析結果については、さらなる検討が必要ではあるものの、GWASのような網羅的遺伝子解析は、糖尿病性腎症に関わる遺伝子解析の手法として、現在最も有用な方法の一つであると思われる.
2011-03-31

糖尿病性腎症における疾患関連遺伝子研究の現状

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