メタボリックシンドロームと糖尿病性腎症

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最近、腎臓障害が心血管疾患の独立した危険因子であることが注目されており、2002年米国で慢性腎臓病(CKD)の定義と重症度によるステージ分類が提示された。わが国でも2007年にCKD診療ガイドライン(日本腎臓学会)が発表された。CKDが心血管疾患の危険因子であることを示す多くの疫学的研究が報告されている。また、CKDは慢性腎不全の危険因子でもある。わが国では慢性維持透析患者数が増加しており、中でも糖尿病性腎症による透析導入患者は年々増加していることから、その対策は重要である。,一方、生活習慣の偏りによっておこるメタボリックシンドローム(MetS)はインスリン抵抗性を基盤とし、血圧異常、脂質代謝異常、糖代謝異常などが集積した病態であり、心血管疾患の危険因子である。2005年にわが国のMetSの診断基準が発表された。,MetSは、心血管疾患、糖尿病発症の危険因子であるが、CKDの発症危険因子でもあることが最近わかってきた。糖尿病や高血圧の発症頻度で補正をしても、MetSはCKD発症の独立した危険因子であることが報告されている。,わが国の2型糖尿病患者における大規模介入試験であるJapan Diabetes Complication Study (JDCS) では、2型糖尿病患者のうちMetsを有するものは男性の45%、女性の38%であった。そのうち糖尿病性腎症を有するものは男性で51.2%、女性で57.7%であった。MetSを合併する糖尿病患者は非合併者に比べ、心血管疾患のリスクが高く、糖尿病性腎症の発症リスクも高いことが報告されている。そのメカニズムとしては、インスリン抵抗性、肥満など共通した基盤があり、さまざまなものが想定されているが、さらに解明が必要である。,糖尿病患者においては、心血管疾患の予防および慢性腎不全の予防の観点から、血糖コントロールのみではなく、早期からの脂質、血圧、肥満などのコントロールが重要であると考えられる。
2011-03-31

メタボリックシンドロームと糖尿病性腎症

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