米国における「人格教育における連携事業」の創設過程 : 1990年代初頭の連邦レベルの人格教育をめぐる政策論議に焦点を当てて
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概要
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1990年代に人格教育実践が全米の学校に広がるなか、連邦教育省における証言や連邦議会下院でのホールによる『人格教育法案』の提案など、人格教育を教育政策に取り入れようとする動きがみられた。しかし、人格教育に対する公的関与の実現には、2つの大きな壁が存在していた。ひとつは、連邦教育省の消極的姿勢、もうひとつは、議会内で、保守・リベラルの両者から、人格教育が懸念されていたことである。これに対して、人格教育政策の推進に大きな役割を果たしたのは、上院キャラクター・カウンツ会派であった。同会派は、まず、「人格啓発週間」の共同決議案を提出し、共和民主両党の幅広い支持を得て可決に持ち込んだ。この共同決議の可決を通じて人格教育に対する連邦の関与の必要性について議会内の理解後支持を集め「世論形成」を十分に行ったのである。まさに、「人格啓発週間」の協同決議案の可決が、連携パイロット事業(『上院修正案第2414号』)の可決につなげたといえる。以上、人格教育の連邦政府の関与は、教育省や議会の保守・リベラル両派からの反対に遭いながら、上院の社会統制派の議員の連合が推進力となり実現されたといえる。
- 2011-03-04
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