しょうがい児を育てる親のQOLモデルの検証
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概要
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しょうがい児をもつ親の精神的健康に関するこれまでの研究は,主に母親を対象として,ストレスなどの精神的健康悪化要因に焦点を当てたものであり,その多くは定型発達児の親と比較してしょうがい児の親のストレスが大きいというものであった.本研究では,しょうがい児をもつ親の精神的健康促進要因に焦点を当て,その指標としてQOL(Quality of Life)を取り上げた.しょうがい児の親123名(男性45名,女性78名)を対象とした.QOLを高めるメカニズムとして,主観的幸福感・本来感といった個人的要因は,SOC(Sense of Coherence)およびソーシャルサポートを介してQOLに促進的影響を及ぼすというモデルを構成し,以下の結果を得た.(1)SOCには本来感の緩衝効果が認められた.(2)SOCと本来感・主観的幸福感には交互作用が認められ,本来感・主観的幸福感が低くても,SOCを高めることでQOLが高く予測されることが示唆された.(3)ソーシャルサポートはQOLに直接促進的影響を及ぼしていた.ソーシャルサポートと本来感・主観的幸福感の交互作用は認められなかった.以上より,本研究対象地区のような周囲の人々や環境との関係性を重んじ,関係流動性の低い保守的な地域においては,本来感や主観的幸福感という個人特性よりも,周囲との関係志向性であるSOCがしょうがい児の親のQOLの指標となり得ることが示唆された.また,ソーシャルサポートとSOCがQOLに直接的な影響を示しており,これらを高める介入を行うことでしょうがい児の親のQOLを促進させ得ることが示唆された.
著者
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