ホームレス状態を「脱却」した人々の生活状況とホームレス対策の課題
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿は,ホームレス状態を「脱却」し,アパートなどでの生活に移行した人々の生活状況の分析を通じて,ホームレス支援の政策的課題を考察することを目的とする.近年のホームレス対策の主要な政策目標の1つは,ホームレスを「野宿から野宿でない状態へ」移行させる点にある.しかし,ホームレス支援団体「笹島診療所」がアパート生活者を対象に2003年に行った調査の結果からは,ホームレス状態を「脱却」した後にもさまざまな生活問題を抱えていること,また,そのような生活問題を解決していくための親族や近隣・友人との社会的ネットワークが十分確保されていないことが明らかとなった.ホームレス問題を物理的な意味での住居の喪失状態としてではなく,「つながり」の喪失状態ととらえた場合,ホームレス状態を「脱却」することは,ホームレス対策のゴールではなく,新たな「つながり」を構築していくためのスタート地点として位置づけられるべきである.
- 一般社団法人日本社会福祉学会の論文
- 2005-07-31
著者
関連論文
- ホームレスの多様性と複線的アプローチ : 自立支援センターの支援記録にみるホームレス対策の課題
- 書評 山田壮志郎著 ホームレス支援における就労と福祉[含 書評りぷらい]
- ホームレス支援における就労と福祉(書評りぷらい)
- 無料低額宿泊所の現状と生活保護行政の課題
- 貧困・低所得者層に対する就労支援と社会的自立に関する開発研究-自立支援プログラムに関するアンケート調査報告書 52頁
- ホームレス状態を「脱却」した人々の生活状況とホームレス対策の課題
- ホームレス対策の3つのアプローチ : 「就労自立アプローチ」への傾斜とその限界性
- ホームレス状態の解消と持続する排除 : 社会的包摂志向のホームレス対策に向けて