ホームレスの多様性と複線的アプローチ : 自立支援センターの支援記録にみるホームレス対策の課題
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概要
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本稿の目的は,ホームレス自立支援センターにおける支援記録の分析を通じて,ホームレス対策の課題を考察することである.近年のホームレス対策は,自立支援センターにおいて就労支援を行い,ホームレスの就労による自立を実現することを主要な目標としている.しかし,自立支援センターには,就労可能性が高く就労支援を特段必要としていないようにみえる層から,自立支援センターへの入所が適切でないと思われる層まで,多様な人々が入所しており,結果として目的の実現可能性に差異を生じさせている.また,劣悪な雇用環境やセンターでの集団生活,利用期限の設定といった問題も,入所者の就労による自立を困難にさせている.今後のホームレス対策は,ハウジング・ファースト・アプローチも視野に入れた居住場所の確保を前提に,自立を阻害する環境的な要因を取り除き,就労に偏らない多様な自立を容認しうる複線的なアプローチから形成される必要がある.
- 2008-02-29
著者
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