ホームレス対策の3つのアプローチ : 「就労自立アプローチ」への傾斜とその限界性
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概要
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本稿は,ホームレス数の増加に伴い急速に展開する近年のホームレス対策の動向を検討し,その特徴を明らかにすることを目的とする.近年におけるホームレス対策の枠組みは,3つのアプローチ(就労自立,福祉自立,退去)に分けることができる.国によるホームレス対策の端緒となった「ホームレス問題連絡会議」の設置(1999年)から,支援施策の制度的基盤整備の1つの節目となった「特別措置法」の制定(2002年)に至るまで,この3つのアプローチのバランスが変化しながら推移し,最終的には「就労自立アプローチ」がもっとも大きな比重を占めることとなった.しかし,何らかの理由で労働市場から排除されてきた人々を,単にそこへ戻していくというアプローチには一定の限界がある.したがって,「就労自立アプローチ」からの施策と同時並行的に,次第にその比重が縮小している「福祉的アプローチ」からの施策を拡充させることが求められる.
- 一般社団法人日本社会福祉学会の論文
- 2003-11-30
著者
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