10.構造物の振動性状に及ぼす温度応力の影響について
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概要
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従来我が国における構造物の温度応力に関する研究は主に地上部分と地下部分の収縮歪又は温度の差によって生ずる応力を対象として来た。しかし最近の建築設備技術の進歩に伴い建築物内部の温度は年間を通じてほぼ一定に保たれる様になり,変動する戸外温度と建物内温度との差によって高層建築物には図-1の様な変形が生じ,大きな温度応力を生ずる事が問題にされる様になってきた。[figure]図-1の様な変形による温度応力は弾性範囲については従来の多スパンラーメン用の温度応力計算法を準用して求めることができる。一方我が国の高層建築物の構造設計でもっとも重要な事項である地震時の応力と変形におよぼす自己歪応力(温度応力を含む)の影響については,武藤博士によれば"自己歪応力は構造物の終局荷重(降伏震度)には影響を与えないが,初期剛性を低下せしめ固有周期を増大させる要素となる。又局部崩壊を生ずる可能性のある場合には,自己歪応力によって終局荷重が低下する事もあるので注意が必要である。" 著者は先に完全弾塑性型の復元力特性をもった1質点系構造物にa_0 sinptなる地動が作用した場合について計算し,温度応力の振動性状に及ぼす影響について若干の考察を行ったが,今回Runge-Kutta法に基づいて作成したProgramを用い,北大計算センターのDigital Computer NEAC-2203Gによって数種の計算を行ったのでここに報告する。
- 1967-08-26
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