東アジア縁辺海の環境変動に対してフェリー・モニタリングが果たす役割(シンポジウム:北東アジア海域の沿岸海洋観測システム-その現状と課題)
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概要
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博多-釜山間(対馬海峡)におけるフェリー・モニタリングのADCP観測結果から,対馬海峡を通過する対馬暖流の流動構造とその変動特性が明らかにされた.対馬海峡を通過する1997年2月から2005年7月までの平均流量は,2.6Sv(Sv≡10^6m^3s^<-1>)と見積もられ(東水道:1.1Sv,西水道:1.5Sv),流量は大きな季節変動をするとともに,春から秋に二重極大が現れるという特異性を持つ.この流量と沿岸潮位の関係を用い,潮位差から過去の通過流量を推定することが可能となった.このフェリー・モニタリングによって得られた流速・流量データは,太平洋循環モデルの検証や日本海モデル・日本海海況予報モデルの境界条件として利用され,日本海や東シナ海の研究に大きな貢献をしている.東アジア縁辺海域に密に張り巡らされた貨客船の定期航路を活用し,対馬海峡と同様にフェリー・モニタリングを展開すれば,今後,東アジア域における温暖化等の環境変動をモニターするための強力な手段となることは間違いない.
- 2006-08-31
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