伊勢湾伊良湖水道沖の海洋構造の観測

概要

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伊勢湾とその沖の外洋との相互作用を調べるため,三重大学の練習船『勢水丸』を用いて志摩半島沖から浜名湖沖を結ぶ直線の観測線で1995年5月から1998年8月までの四季にわたり計11回のCTDとADCPによる観測を行った.1995年5月の観測では紀伊半島の南沖から黒潮系の暖水の接近がみられ,1995年と1996年の10月には御前崎から伊勢湾沖を西進する黒潮のストリーマーが観測された.特に1995年10月には流速が1.5m sec^<-1>を超える強いストリーマーの一部が50cm sec^<-1>以上の流速で伊勢湾に流入していることが観測された.また,春は志摩半島沖と浜名湖沖から低塩分の湾内水が外洋へ流出する現象が観測されたが,夏には観測線の全域で34psu以下の低塩分水が10m程度の厚さを持って流出することが観測された.1997年1月,1998年4月の観測では共に観測線の中央部の約40m以深に密度が極大となる領域があり,熱塩フロントとの関連が示唆された.冬季のADCPによる観測では10mから40m深まで鉛直にほぼ一様な流れが観測され,内部圧力傾度が無いことと合わせて流れに地衡流平衡が成立している可能性が示唆された.
2002-08-21