尾鷲湾における海況変動の観測

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1994年8月と1996年2月初旬から3月初旬までのそれぞれ約1ヵ月間,尾鷲湾の4点で計7層の水温と流速の観測を行った.その観測の主な結果をまとめた.湾奥の観測点の1m深の水温は冬季に他の観測点と比較して極めて温度が高く,火力発電所による温排水の影響を受けていることが示された.夏季の観測では全観測点の10m以浅で8月12日から15日にかけて黒潮から切離した暖水ストリーマーによる高水温が観測され,その影響が尾鷲湾の湾奥まで達することが示された.佐波留(さばる)島の北に設置した観測点ではほぼ水深急変部の等深線に沿う北西と南東方向の流れが卓越し,地形にトラップされた流れの存在が示された.外洋に面した観測点3と4の10m深の流速は互いにコヒーレントな変動をしており,黒潮系の暖水の接近などに関連する流速変動の卓越が示唆された.さらに,外洋に面した海域では冬季の混合層に伴って鉛直にコヒーレントな流速構造が観測され,夏季に比べて流速が顕著に小さいことから,流れは地衡流バランスした性質を持つことが推量された.2月10日より17日まで紀伊半島東部を北上する黒潮の暖水舌が生じ,尾鷲湾の沖側に面した2つの観測点の10m深で30cm sec^<-1>を越える冬季としては顕著な北上流が観測された.冬季は黒潮の接近による水温の影響は少ないものの,流速場には大きな影響が生じることが示された.
2000-08-25

尾鷲湾における海況変動の観測

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