環境ホルモンの海産魚類に対する影響 : 東京湾産マコガレイを例として(シンポジウム:沿岸海域における環境ホルモンの動態)
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概要
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欧米において都市部の河川水や下水排水口付近に移植した雄の魚-ニジマス,コイ,ラージマウスバス等-から本来ないはずの雌特異血清タンパク質が検出され,環境中の女性ホルモンと同様の働きをする物質による魚類への影響が懸念されている.筆者らは,都市近郊の半閉鎖性水域に生息する魚類特に汚染物質の影響を受けやすいマコガレイPleuronectes yokohamaeを研究対象魚として選んだ.東京湾で採取した天然の雄マコガレイの血清ビテロジェニン濃度と,比較的内分泌かく乱物質の少ないと考えられる北海道地域(比較対象区)で採取した雄マコガレイの血清ビテロジェニン濃度とを約1年間比較検討した.東京湾に生息する雄マコガレイの約40%からビテロジェニンが検出されたが,北海道産の雄マコガレイからは検出されなかった.さらに東京湾で採取された天然の雄のカレイから精巣卵が見つかっている.北海道産の雄のマコガレイからは,精巣卵は見つかっていない.内分泌かく乱物質との関係は依然不明であるが,関東近海の海域に生息する雄マコガレイが,なんらかの原因で内分泌がかく乱されている可能性が示唆された.
- 日本海洋学会の論文
- 2000-02-25
著者
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