宮城県女川湾小乗浜および宮城江の島における水温の変動について
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概要
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湾外の海況変動の湾内への伝わり方を知ることは非常に難かしい問題であるが,一つの方法としてわれわれは水温の変動に注目し,宮城県女川湾小乗浜と湾沖の宮城江の島に水温計を設置し連続観測をして両測点の比較を行なったのでその結果を報告する.(1)日変動幅(日最高水温と日最低水温の差)の解析期間の平均値は江の島1.4℃,小乗浜0.7℃で江の島の水温変動が2倍大きい.(2)日変動幅と日平均水温の前日との差がそれぞれ3℃を越える場合の頻度を数えると,前者が江の島62回,小乗浜7回,後者が江の島6回,小乗浜1回であり,江の島が圧倒的に多い.また,水温ジャンプ現象については江の島102回に対し小乗浜は29回であり,やはり江の島が圧倒的に多い.(3)しかし,(1)で述べた日変動幅の平均値の比2:1を変動の基準として江の島の日変動幅と日平均水温の前日との差が3℃以上に対し小乗浜を1.5℃以上にすると両測点ともほぼ同様の頻度となる.このようなことから湾内の変動は振幅は小さいが湾外と同程度の頻度で起っていると考えられる.(4)季節的には小乗浜で5,6月に変動の頻度が多いのに対し,江の島では6,7,8月に多い.つまり,水温上昇時には湾内へ侵入しやすく,水温最大の夏季には侵入することが少ないような傾向がみられた.
- 1973-08-31
著者
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永田 豊
三重大学生物資源学部
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桜井 仁人
鹿児島大学工学部
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桜井 仁人
東京大学海洋研究所
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永田 豊
東京大学理学部地球物理学教室
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関野 清成
東北大学農学部付属水産実験所
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伊達 大喜
東京大学地震研究所江の島津波観測所
-
伊達 大喜
東京大学地震研究所
-
関野 清成
東北大学農学部
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