天然系塗布材からの揮発性有機化合物放散に及ぼす下地の影響

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塗布材の塗布における揮発性有機化合物の放散において、下地が放散に及ぼす影響を検討した。塗布材としては特に天然系のものを対象とした。4種類の下地、アルミ板、フローリング板、MDF板及びセラミック板に3種類の塗布材、亜麻仁油、自然塗料及び自然ワックスを塗布し、塗布材から放散したカルボニル化合物を小形チャンバー法によって測定した。下地の違いによる放散速度の経時変化の違いを比較することにより、これら下地が揮発性有機化合物の放散に及ぼす影響を調べた結果以下の結論を得た。1)塗布材は空気により酸化されてカルボニル化合物を生成し放散する。自然塗料Kは酸化を受けやすく、自然ワックスAは酸化を受けにくく、亜麻仁油はその中間である。下地はこの酸化反応の過程を支配し、結果的に揮発性有機化合物の放散を支配する。2)アルミ板と比べ、フローリング板とMDF板は酸化反応を抑制し、カルボニル化合物放散を抑制する効果があった。この酸化反応の抑制は塗料のしみ込みにより空気との接触が制限されるためと考えられる。3)セラミック板"モイス"は揮発性有機化合物の放散を促進させた。この促進はセラミック板"モイス"に含まれる成分が空気酸化を促進させる触媒作用をしているためではないかと想定される。4)成分中に不飽和脂肪酸(沃素価の高い油脂)を多く含む塗布材ほど揮発性有機化合物の放散は下地の影響を受け易い。5)亜麻仁油や自然塗料Kのような液体の塗布材では下地にしみ込み易いので、放散に及ぼす下地の影響は大きい。逆に自然ワックスAのような糊状の塗布材では放散に及ぼす下地の影響は小さい。
2008-06-05

天然系塗布材からの揮発性有機化合物放散に及ぼす下地の影響

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