エミュー卵の調理特性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究ではエミュー卵を材料として調理に利用する可能性を探ることを目的に,エミュー卵の形状特徴と起泡性,熱凝固性に関する調理特性を明らかにした.材料としたエミュー卵(以後E卵)は産卵から約2ヶ月を経過した食用の無性卵であった.コントロールとして,産卵後1日以内の白色レグホーン種鶏卵(以後H卵)を用いた.1.E卵の形状はH卵より細長かったが,形状係数はダチョウ卵と類似した.E卵で卵殻と卵黄の重量比は高く,特に卵黄の占める割合が大きかった.E卵のpHは卵白と卵黄ともに弱アルカリ性を示した.2.起泡性は卵白ではE卵の方が,全卵泡ではH卵の方がよかった.しかし,E全卵はH全卵より泡立ちが早いと考えられた.卵白泡の安定性では攪拌30分後でE卵卵白泡はH卵より最も安定するが,その後時間の経過とともに泡の安定性の差は小さくなった.3.色差は卵殻と生卵黄ではE卵のL*,a*,b*値で有意**p<0.01)にH卵より低かった.加熱卵の卵白は加熱温度が高くなるほどH卵より明度が低く,赤みと黄色みが薄いことが示された.卵黄ではE卵の方がH卵より明度が高く,赤みと黄色みが薄く,特に卵黄が完全凝固する85℃以上でその差は顕著であった.4.加熱卵白のテクスチャーでは,加熱温度80℃以上の時のE卵で有意(80℃:*p<0.05 80℃以上:**p<0.01)にH卵より軟らかかった.E卵の凝集性は加熱温度65℃の時に最大となったが,その時の凝集力はH卵と比べて著しく弱かった.しかし,E卵は80℃以上でHより高い凝集性を示し,固体化が進んでいることが示唆された.ガム性荷重は凝集性と類似した.E卵卵黄は85℃で完全に凝固したが,凝固状態はH卵より軟らかく,ほぐれにくい状態を示した.5.H卵と比較したE卵の調理特性として,(1)卵黄割合が高い.(2) 卵白の起泡性がよい.(3)攪拌後30分以内の卵白泡に安定性がある.(4)卵黄は生・加熱ともに赤みと黄色みが薄い.(5)加熱卵白は明度が低く,赤みと黄色みが薄い.(6) 卵白の完全凝固温度は高く,100℃でも弾力がある.(7)加熱卵黄は熱温度85℃以上で有意に柔らかい.の7項目が明らかになった.
著者
関連論文
- 食育の観点からみた箸の持ち方と食事マナー
- ブロイラー胸肉の遊離アミノ酸含有量と肉の軟化に及ぼすブロメライン処理効果
- 鶏肉の貯蔵・加熱調理に伴うヒスチジン含有ジペプチド(アンセリン・カルノシン)およびDPPHラジカル捕捉活性の変化
- ブロイラー胸肉の遊離アミノ酸含有量と肉の軟化に及ぼすブロメライン処理効果
- 食育の観点からみた箸の持ち方と食事マナー
- ロースト鶏腿肉の理化学特性および嗜好特性
- 生野菜のおいしさと健康維持機能 (特集 生食の美味しさと安全性確保)
- エミュー卵の調理特性
- 東海地方におけるさといもの葉柄と菜豆の利用状況
- 米団子の物性が高齢者の嗜好性および咀嚼回数におよぼす影響
- エミュー卵の調理特性
- エミュー卵の調理特性
- 60歳以上の肥満群と非肥満群の体重変化と生活習慣に関する比較
- 高齢者の咀嚼能力と食事摂取状況の関連
- 幼児の食行動の現状と虫歯とデンタルケアの関連
- 運動習慣を有する高齢女性の栄養摂取状況および身体活動状況
- 名古屋コーチンの調理及び調味操作に関する嗜好調査
- 冷凍食品に関する研究(第2報) : 冷凍食品の配送・販売・消費過程における品質管理について
- 名古屋コーチンの年代別嗜好性及び調理性の実態調査
- 漬け込み操作による名古屋コーチンの消臭効果及び嗜好性
- 名古屋コーチンの調理方法及び添加調味料による食嗜好研究
- 煮熟条件が煮熟黒大豆の物性に与える影響
- 家族構成が女子学生の食習慣と海草類に関する摂取状況および健康効果意識に及ぼす影響
- 食材への切り込み操作が高齢者の咀嚼回数と嗜好性に及ぼす影響