糖尿病患者における慢性腎臓病と左室重量との関連

概要

論文の詳細を見る
〔目的〕左室肥大は心血管疾患の独立した危険因子である。糖尿病もそれ自体左室肥大の危険因子である。慢性腎臓病(Chronic kidney disease:CKD)患者においては、左室肥大は高率に認められ、心血管障害予後に重要な役割がある。今回、我々は、2型糖尿病患者においてCKDステージごとの左室重量の関係と、その危険因子について検討した。〔対象と方法〕2005年の1年間に心エコー図を施行した糖尿病患者403名のうち、左室内径を測定しえた2型糖尿病296名〔男性172名、平均年齢61±13歳(mean±SD,以下同) 〕を対象とした。左室内径計測は、M-mode法を併用し、左室の内径および壁厚を測定した。左室重量インデックス(LVMI)はPennの式により左室重量を体表面積で補正して求めた。CKD分類は推算GFR により5群に分類した。〔結果〕LVMIはCKDステージ1で104.9±24 .0 g/m2, ステージ2で111.4±25.6 g/m2 , ステージ3で120.0±31.2 g/m2 , ステージ4で133.2±25.6 g/m2, ステージ5で151.6±36.2 g/m2であり,CKDステージが進むほど増加し,ステージ間で有意差を認めた(p<0.001)。左室内径においてもCKDステージの進行とともに増大し、ステージ間で有意差を認めた(p<0.001)。CKDステージごとの左室重量増加の危険因子はステージ1では年齢が高いこと(p<0.05)、男性(p<0.05)、高血圧の存在(p<0.05)が、ステージ2では男性 (p<0.05)、高血圧の存在(p<0.05)がLVMIの独立した危険因子であった。ステージ3ではBMIが高いこと (p<0.05)、HbA1cが低いこと(p<0.05)、ステージ5ではHbA1cが低いこと(p<0.01)であった。ステージ4では有意な危険因子を認めなかった。〔結論〕2型糖尿病患者において、左室重量はCKDのステージが進むほど増加していた。このことは、腎不全患者において左室肥大が増加している一因になると考えられた。また、左室重量増加の危険因子はCKDステージにより異なり、糖尿病患者においてはCKDの早期からの血圧のコントロールが必要と考えた。
2010-12-25

糖尿病患者における慢性腎臓病と左室重量との関連

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク